SIMとeSIMどちらが優れている?メリットとデメリットを紹介
私達が使用しているスマートフォンには個人情報が格納されているSIMが入っていることによって各個人を識別できており、そのSIMには物理的なSIMカードとeSIMの2種類があります。今回は、この物理的なSIMとeSIMのどちらがいいのかをはじめ、SIMとeSIMの仕組みやメリット・デメリット、使用方法などについて詳しく紹介していきます!
目次
SIMとは?
私達が普段使用しているスマホやタブレットには、「SIM」という物理的な小さなカードが入っているのをご存じですか? SIMとは、Subscriber Identity Module(加入者識別モジュール)の略称です。このSIMカードには、主に通信会社との契約情報や電話番号、名前、住所などユーザーの個人情報が紐づけられていて、これによって加入者を識別することができ、それぞれの契約内容に応じたインターネット通信や電話番号による音声通話を実現しています。
SIMカードは2008年頃から普及しはじめ、その後スマートフォンの登場とともに一気に世界各国に浸透し、現在では多くのスマートフォンの機種で使用されています。現在、日本で使用されているSIMカードは全部で3種類あります。国際的にはmini SIMカード(日本では標準SIMカードと呼ばれている)が主に使用されていますが、日本国内ではmicro SIMカードとnano SIMカードの計3種類が利用されており、nano SIMカードが最も主流となっています。
また、これまではSIMとSIMカードは区別することなく同じ意味で使用されてきましたが、近年はオンライン上で存在するeSIMが流通していることもあって、従来の物理SIMは「SIMカード」と呼ばれるようになりました。
eSIMとは?
こちらではeSIMについて解説します。
皆さんは最近、eSIMという言葉をよく耳にしませんか?eSIMとは、Embedded Subscriber Identity Moduleの略称で、「埋め込み式」を意味するEmbeddedからもわかる通り、近年登場したあらかじめスマホに埋め込まれたデジタルSIMのことです。eSIMは、従来の物理的なSIMカードと同じ機能を持つICチップがスマホ本体に内蔵されており、オンライン上で契約情報を追加することができます。これまで物理的なSIMカードで通信会社を変更する場合は、カードの差し替えが必要でしたが、eSIMの場合はその手間をかけずにオンライン上でデータを書き替えるだけで済むようになりました。日本では、2021年3月にワイモバイル、同年7月にソフトバンクと、eSIMサービスが次々に提供されはじめており、積極的にeSIMの普及を推進しているおかげでeSIM利用者が増加しています。
物理的なSIMカードのメリット
こちらでは、物理的なSIMカードのメリットについていくつか紹介していきましょう。
数多くのデバイスで利用可能
物理的なSIMカードは対応機種が豊富に存在します。これまで利用していたデバイスと異なるデバイスでもSIMカードを差し替えるだけですぐに電話とインターネット通信を利用できるのがメリットといえます。
デバイスが故障しても他のデバイスに差し替えることができる
もしデバイスが故障しても、他のデバイスにSIMカードを差し替えることで、すぐに前のデバイスと同じように使用することが可能です。
電話番号をそのまま引き継ぎできる
物理的なSIMカードの場合、これまで使用していたスマホから新しいスマホにSIMカードを差し替えるだけで、同じ電話番号を引き継いで使用することができます。
SIMのデメリット
ここでは、SIMのデメリットについていくつか紹介します。
発行するまでに時間がかかる
通常、新しいSIMカードを購入する場合、スマホ販売店や各通信キャリアの店舗にわざわざ出向く必要があったり、インターネットを通じてキャリアのウェブサイトから申し込んだ場合は、実際にSIMカードが届くまでに数日かかってしまいます。破損や紛失など不測の事態の場合でも同じように時間がかかってしまうのはデメリットといえますよね。
初期設定を自分で行う必要がある
通常、SIMカードを購入すると郵送で送られてくるため、SIMの初期設定や通信サービスを利用するためのAPN設定は自分自身で行わなければなりません。特にスマホの設定が苦手な高齢者などにとっては非常に難しい作業といえるでしょう。
対応してくれる実店舗が少ない
通信キャリアの中には、SIMカードと通信プランを格安で提供する代わりに実店舗を持たない会社も存在しており、何か不具合などが起きた場合に実店舗で相談できないことで、問題を解決するまでに時間を要してしまう場合があるのも難点でしょう。
破損・紛失する可能性がある
物理的なSIMカードは、差し替えの際にカードが破損してスロットの端子部分が反応しづらくなったり、紛失する可能性があります。特に、SIMカードは小さいので、大切に管理していても紛失してしまうというユーザーも少なくありません。
eSIMのメリット
ここでは、eSIMのメリットについていくつか紹介していきます。
オンラインですぐに利用できる
やはりSIMカードとeSIMの違いは物理的に存在するかどうかでしょう。加えて各通信キャリアのウェブサイトやアプリを通じて契約者情報を入力したり購入するなど、オンライン上ですべての手続きが完結できる点が、SIMとeSIMの違いでもあります。また、通信キャリアにもよりますが、大抵の場合、音声通話とデータ通信ともに最短数十分〜1時間程度で利用を開始できるのがeSIMのメリットといえます。
差し替えの手間がない
物理的なSIMカードの場合、利用したい通信キャリアを変更する際にいちいち差し替えなければなりませんが、その手間がかからないのがeSIMです。
破損や紛失する心配がない
SIMカードは物理的に存在しており、一方のeSIMは各デバイスに内蔵されている点が、明確なSIMとeSIMの違いです。したがって、eSIMの場合は差し替えの手間がないだけでなく、デバイスのSIMカードを挿入するスロットやSIMカード自体が破損・紛失するリスクがほとんどありません。よって、SIMカードを再発行する場合の手数料も必要なく、安心して利用できます。
1台のデバイスで複数の回線が使用可能
ひとつのデバイスでふたつのSIMが使用可能なデュアルSIM機能をもつスマホ機種が多くあります。デュアルSIMには、SIMカード1枚とeSIM1枚を組み合わせて使用できるものと、ふたつのeSIMを同時に利用できるものの2種類があります。これによって、1台のデバイスでeSIMと物理SIMを併用可能になり、仕事用とプライベート用とで使い分けるなど、幅広い使い方ができるのもメリットといえます。
通信障害などの事態に対応できる
デュアルSIM機能がある機種を使用することで、物理SIMとeSIMのどちらかが通信障害などで通信できなくなった場合でも、もう一つの回線に切り替えて通信できるため、災害時などに有効といえます。このように、eSIMと物理SIMのどちらがいいというわけでなく、どちらも利用できるデュアルSIM機能付きの機種を利用すれば不測の事態にも対応し、危険を回避することができるでしょう。
海外出張や旅行にも便利
一般的に海外旅行や出張する場合に問題となるのが現地での通信問題です。空港で購入できる通信会社が少なかったり、支払い方法が現地通貨のみなどという場合もよくありますよね。また、気づかぬうちに現地で日本国内の通信会社のデータローミングを使用してしまい、帰国後に多額の通信料金が発生してしまうなんて危険もあります。しかし、eSIMの場合は、渡航先で使用可能な回線契約をオンライン上で即実行することができるため、現地に着いてから困ることがなく、もちろん物理的なSIMカードでよくある紛失や盗難の心配もありません。
データプランの料金を節約できる
1台のデバイスで2つの異なるSIMが使用可能なデュアルSIM対応機種の場合、通話料とデータ通信がそれぞれ安いキャリアを選んでうまく組み合わせることで月額料金を安く抑えることができます。iPhoneXS以降の機種であればSIMカードとeSIMどちらにも対応しており、iPhone13以降の機種はeSIMが2つ同時使用が可能で、最大8個以上の回線を保持できるので、海外旅行専用のeSIMを設定するなどより幅広く使用できます。
eSIMのデメリット
ここでは、eSIMのデメリットについていくつか紹介します。
eSIMに対応しているデバイスは限定的
eSIMデメリットはeSIM対応デバイスが限られている点です。ほとんどのメーカーの最新機種はeSIM対応可能ですが、古い機種にはeSIM対応していないものが多く、デメリットといえます。Androidの場合は、メーカーによってeSIM対応しているかどうかが異なります。iPhoneの場合は、XR以降の機種はどれもeSIM対応で、物理的なSIMとeSIM両方に対応していますが、それ以前の機種は未対応となっているので注意しましょう。
初期設定に手間がかかる
eSIMの初期設定をする際には、対応している通信会社や機種が限られていることもあり、多少の手間がかかるのがデメリットです。まず、eSIMプロファイルをダウンロードする際など、インターネット接続が必要になります。さらにキャリアによっては、eSIMを有効化するためのQRコードを読み取るために別なデバイスが必要です。
ほとんどのキャリアのeSIMがデータ通信のみ提供
eSIM対応しているキャリアは増えていますが、格安通信キャリアを中心にほとんどがデータ通信のみとなっています。最近では、LINEやZoomといったインターネット接続を利用した音声や動画での通話が主流になっているので、データ通信専用のeSIMでも通話は可能ですが、どうしても電話回線を使用したい場合はeSIMとSIMカードのどちらがいいのか難しいところです。ただ、データ通信、電話番号の両方を使用したい場合は、eSIMとSIMカードが使用可能なデュアルSIM機能を持つ機種を使うことで、この問題は解決できます。
SIMとeSIMはどっちがいいの?
上記ではSIMとeSIMのメリット、デメリットを紹介してきましたが、果たしてSIMカードとeSIMはどちらがいいのでしょうか。以下で解説します。
eSIMは物理的なSIMカードとは異なり、スマホ本体のチップにオンライン上で契約者情報などを書き込んで登録します。また、eSIMは物理的なSIMカードと比べ盗難や紛失のリスクが低いといえます。もちろん、eSIMのほうが電話番号を提供しているキャリアは少ないですが、デュアルSIM対応機種を使用すれば問題ないでしょう。初期設定する際にインターネットが必要などといった多少の手間がかかるデメリットもありますが、eSIMを利用することで得られるメリットの方が断然上回ります。
現在、eSIMのほうがSIMカードよりも利便性が増していることから、これから機種変更をする場合は、eSIM対応機種にするのがおすすめといえます。そして、海外旅行の際には物理的なSIMカードとeSIMはどちらがいいのかというと、安全面や利便性を踏まえれば圧倒的にeSIMのほうが有用です。