インドネシアSIMカード:入手方法と選ぶべきオプションを解説
インドネシアはバリ島やジャカルタなど多くの日本人が海外旅行で訪れる国として知られています。現地滞在中、より安全で快適に過ごすためには、スマホでLINEなどの連絡ツールやGoogleマップなどのナビアプリが常時使用できることが理想的です。今回は、インドネシア旅行中に物理的SIMやeSIM、プリペイドなど、インターネットを利用するための選択肢とそれぞれの入手方法について解説します。
インドネシアのSIMカードの種類
インドネシア旅行の際に現地でインターネットが利用可能になるSIMカードは必須アイテムといえます。こちらでは、インドネシア旅行の際に使用できる主なSIMカードの種類を紹介します。
物理的なSIMカード
インドネシアへの旅行時、インターネットを利用するために最も一般的に知られている方法が、物理的なSIMカードの利用です。インドネシア到着後、空港や都市部の販売店などでSIMカードを購入することができます。インドネシア国内の主要な通信会社は、Telkomsel(テルコムセル)、XL AXIATA(アクシアタ)、Indosat Ooredoo Hutchison(インドサット)の3社です。また、インドネシアへの渡航前でも、インドネシア向けのeSIMやインドネシアを含む東南アジア各国で使用できるSIMカードなどをあらかじめ日本で購入することもできます。そして、一般的にインドネシア向けの物理的なSIMカードはnano SIMが使用されている場合が多いのですが、なかにはmicro SIMや標準SIMなど他のサイズのものもあります。
eSIMカード
近年、インドネシア旅行の際に多くの観光客が利用しているのがeSIMです。eSIMは「Embedded-SIM」という略称の通り、スマホ内蔵型SIMのことです。
eSIMは物理的なSIMカードとは異なり、差し替えする必要がないため故障や紛失のリスクがなく、手続きもインターネット上で契約できるので、わざわざ店舗に行かずに済みます。また、渡航前に日本でお使いのスマホに各eSIMサービスのアプリをダウンロードし、その時の海外旅行に最適なeSIMプランを購入しておくと、現地到着後すぐにインターネットが利用できるため、eSIMは旅行者にとって最適な選択肢です。
一般的な携帯電話料金の支払い方法は、利用したい分だけチャージするプリペイド式と日本のような後払いのポストペイド式がありますが、インドネシア国内で販売されている物理的SIMカードとeSIMのどちらもプリペイドSIMがほとんどです。
インドネシアでSIMカードを購入する場所と方法
インドネシアを訪れた旅行者がインターネットを利用するための方法としてはSIMカードが最も知られていますが、どのような場所でSIMカードを購入できるのでしょうか。以下では、インドネシアでSIMカードが購入できる主な場所と方法についてそれぞれ解説します。
空港
インドネシアにやってくる旅行者の多くは、首都ジャカルタのスカルノ・ハッタ国際空港、もしくはバリ島のデンパサール国際空港に到着します。スカルノ・ハッタ国際空港の到着後にSIMカードを購入したい場合は、1階到着出口を出ると付近にいくつか通信キャリアの販売店があるので、そこでSIMカードが購入可能です。価格は利用可能日数や電話番号の有無などによって異なりますが、電話番号付きで15GBなら200,000インドネシア・ルピア(約2,000円)、25GBの場合は450,000インドネシア・ルピア(約4,500円)程です。なお、ANAやJALなど日本からの直行便はターミナル3に到着しますが、出口付近に上記で紹介したインドネシア国内の主要通信キャリア3社の販売店があります。また、バリ島のデンパサール国際空港に到着した際にSIMカードを購入したい場合は、到着後に税関を抜けるとすぐに通信キャリアの販売店がいくつか目に入ってきます。価格はジャカルタの空港と大差ありません。
両空港ともにデータ容量が多いSIMカードが販売されている傾向があります。価格面では電話番号を使用しないデータ通信のみの場合は若干安くなり、アクティベート(初期設定)に関しては、ほとんどの場合はパスポートをスタッフに渡すと設定してくれます。
コンビニ
インドネシア国内のコンビニエンスストアでもSIMカードは購入できます。前述した通り、インドネシアのスマホ料金はプリペイド式が浸透しており、SIMカードを購入してチャージすることでインターネットが利用できるようになります。インドネシアでは、このチャージする料金のことをプルサ(Pulsa)と呼びますが、コンビニをはじめ、小売店など街中の至る所でプルサをすることができます。チャージ方法は、店員にチャージしたい旨を伝えて電話番号を教え対応してもらうのですが、店によっては1回あたり1,000〜2,000インドネシア・ルピア(約100~200円)の手数料が別途必要な場合があります。加えて、主要通信キャリアの場合はATMからもチャージすることが可能です。
オンライン
インドネシアに到着する前にオンラインでSIMカードを購入することもできます。たとえば、日本国内にいる間にAmazonなどでインドネシア用SIMカードを購入し、飛行機に乗る前に設定しておけば、現地到着後にインターネットを利用することができます。さらにeSIMの場合は、渡航前にお使いのスマホにeSIMアプリをダウンロードし、アプリ内でインドネシア向けプランを購入しておくだけで済みます。なかでもSailyは、QRコードを使ってアプリを無料でダウンロードすることができるので、現地でインターネットを利用するための最適なオプションといえます。
インドネシアで物理的なSIMカードを使用するための設定方法
こちらでは、インドネシアでSIMカードを使用する際の設定方法について解説します。
物理的なSIMカードの設定手順
1.お使いのスマホにSIMロックがかかっていないかを確認する
SIMカードを購入する前に、まず、お使いのスマホにSIMロックがかかっていないかを確認します。SIMロックされている場合は、契約中の通信キャリアの公式サイトや各店舗で解除手続きが必要です。
2.お使いのスマホに合うインドネシア用SIMカードを購入する
日本国内や現地の空港などでSIMカードを購入しますが、SIMカードの種類やサイズがお使いのスマホに合うかどうかを確認しましょう。
3.スマホにインドネシア用SIMカードを挿入する
インドネシア行きのフライト前や現地に到着したらSIMカードを入れ替えます。iPhoneの場合は、サイドボタンの下にSIMカード差し込み口があるので、SIMカード用ピンを使って挿入口を開けインドネシア用SIMカードに入れ替えます。
4.APNの設定
Android端末など一部の機種は、APNの設定が必要になる場合があります。設定手順は公式サイトなどを参考に進めましょう。
5.インドネシア用SIMカードをオンにする
インドネシア到着後、スマホで「設定」>「モバイル通信」の順にタップし、SIM一覧の中からインドネシア用SIMカードを選択してオンにすれば、インターネットが利用できます。なお、空港の通信キャリアの販売店でSIMカードを購入した場合は、スタッフが設定してくれることもあります。
もし、SIMカードがなかなかアクティベートできない場合は、設定が間違っている、ソフトウェアが最新版でない、スマホが古くて対応していないなど、いくつか理由が考えられるので、再度ひとつずつ確認していきましょう。
eSIMのアクティベート手順
以下は、インドネシアでeSIMをアクティベートする手順です。
お使いのスマホがeSIMに対応している機種かどうかを確認する。
スマホにeSIMアプリをダウンロードする。
アプリから旅行日程や用途に合わせて最適なインドネシア用eSIMプランを選択して購入する。
現地到着後、「設定」>「モバイル通信」からインドネシア用eSIMをオンにする。 :
物理的なSIMカードとeSIMの比較
こちらでは、物理的なSIMカードとeSIMを使用する際のそれぞれのメリット、デメリットを比較します。
物理的なSIMカードのメリット
現地で電話番号が使用できる。
数多くの機種で利用可能。
現地の販売店で購入する場合、アクティベートまでスタッフにしてもらえる場合が多い。
スマホが故障した場合に他のスマホに差し替えて使用できる。
物理的なSIMカードのデメリット
紛失や破損のリスクがある。
現地で購入する場合、わざわざ販売店舗へ出向く必要がある。
日本で購入した場合、現地に到着するまで利用できるかわからない。
差し替えた日本のSIMカードを無くしてしまった場合の再発行が面倒。
SIMロックがかかっているスマホでは使用できない。
eSIMのメリット
日本にいる時やインドネシア到着後など、いつでも購入可能。
破損や紛失のリスクがない。
SIMを差し替えする手間がかからない。
オンラインで購入できるため、店舗に行ったり、面倒な手続きがない。
短期と長期、両方の旅行の日程に合わせたプランが購入できる。
現地でデータを使い切ってしまった場合でもアプリからすぐに追加でチャージできる。
eSIMのデメリット
ある程度新しい機種でないとeSIMに対応していない。
1つのスマホでしか利用できないため、物理的なSIMカードのように複数のデバイスで差し替えて使用できない。
アクティベートする際に自分で設定する必要がある。
eSIMサービスのほとんどがデータ通信のみで、電話番号は使用できない。
価格比較
以下では、インドネシアで人気のあるプロバイダーの旅行者向けSIMカードプランとeSIMプランの価格を比較しました。(1USドル=150円)
Telkomsel(テルコムセル)の旅行者向けSIMカードプラン
25GB分のデータ+音声通話25分:150,000インドネシア・ルピア(約1,500円)
※空港や店舗によって異なる場合あり
XL AXIATA(アクシアタ)の旅行者向けSIMカードプラン
XL 4G SimPat 30日プラン:2GB+音声通話30分+SMS30メッセージ:2.1USドル(約330円)
XL 4G Flash 90日プラン:10GB+音声通話90分+SMS90メッセージ:6.3USドル(約945円)
XL 4G Super 120日プラン:15GB+音声通話120分+SMS120メッセージ:8.4USドル(約1,260円)
XL 4G Ultra 180日プラン:20GB+音声通話180分+SMS180メッセージ:12.6USドル(約1,890円)
XL 4G Extra 365日プラン:30GB+音声通話365分+SMS365メッセージ:25.5USドル(約3,825円)※空港や店舗によって異なる場合あり
Indosat Ooredoo Hutchison(インドサット)の旅行者向けSIMカードプラン
Travel On 30GBプラン:30GB+音声通話10分:100,000インドネシア・ルピア(約1,000円)
Travel On 80GBプラン:80GB+音声通話30分:200,000インドネシア・ルピア(約2,000円)
※期間はどちらも30日間
※空港や店舗によって異なる場合あり
Saily(セイリー)のeSIMプラン
1GB(7日間):4.79USドル(約718円)3GB(30日間):8.99USドル(約1,348円)
5GB(30日間):13.99USドル(約2,098円)
10GB(30日間):21.99USドル(約3,298円)
20GB(30日間):35.99USドル(約5,398円)
インドネシアを長期旅行する際の注意事項
インドネシアでは、2020年4月より海外からのスマートフォンなど携帯電話の密輸を防止する対策として、海外から持ち込まれるあらゆるモバイル通信機器に対する税金の支払いが義務化されています。よって、空港到着後にはまず、海外から持参したスマホについて税関申告書の提出が必要となります。登録制限は一人2台までとなっており、登録をしない場合、インドネシア滞在90日以降は現地で購入したSIMカードが使用不可能となり、通話やチャットなどすべての通信ができなくなります。もちろん、この制限には、私達が旅行でインドネシアを訪れた際に日本から持参したスマホも含まれており、入国後60日以内にスマホのIMEI番号の登録が義務づけられています。IMEI番号とはInternational Mobile Equipment Identifierの略で、スマホなどの各モバイル通信機器に付与された15桁の数字によってデバイスを識別する国際的な識別番号のことで、各スマホの設定から確認が可能です。
ただ、対象となるのはインドネシアでの滞在が90日以上となる方です。もし滞在が短期旅行の場合は、現地で購入したSIMを利用していても登録する必要はありません。インドネシア滞在90日以降は、現地で購入したSIMカードは利用できなくなりますが、海外で購入したSIMカードやeSIMの場合は特に問題なく使用できます。
まとめ
今回はインドネシア旅行の際に使用するSIMカードとeSIMについて解説しました。上記で紹介した通り、SIMカードとeSIMどちらがいいのかというと、インドネシアをはじめ、海外旅行の際に現地でよりスムーズにインターネットを利用するためには、SIMカードよりeSIMのほうがおすすめできるメリットが多いことがわかりました。とはいえ、SIMカードとeSIM、それぞれにメリットとデメリットがあり、旅行だけに限らずさまざまな用途などに合わせて利用することが理想的といえます。